持つ - 基本動詞ハンドブック
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また、手の一部である「指」や「腕」を用いて対象の重量を支える場合にも「もつ」が可能であるが、「肩」になるとやや不自然になり、手とは異なる身体部位と捉え ...
持つ(もつ)
1グループ
▶活用を見る・聞く
1.手に収める人・動物が、ものを手に収める。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
2.把持人・動物が、ものを握る。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
3.所持人が、ものを携帯する。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
4.具有(身体)人・動物が、特徴的な身体部位や傷を身体に有する。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
5.所有人が、物事を自分のものとして有する。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
6.負担人が、物事を引き受ける。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
7.人の管理人が、人を管理する。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
8.具有(人の性質・状態)人が、性質・状態を有する。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
9.含有(物の性質・状態)ものが、性質・状態を有する。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
10.保有(思考・感情)人が、思考・感情などを有する。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
11.設定人が、機会を設ける。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
12.維持人・もの・ことが、そのままの状態を保ち続ける。
文型文法例文
コロケーション非共起例
解説誤用解説類義語・反義語
▼全体解説
▲トップ
持つのコアイメージ
1.手に収める他動詞初級★★★
表記持つ
人・動物が、ものを手に収める。
文型
<人・動物>が<もの>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶汚れた雑巾を二本の指で持ち、洗面所に運ぶ。
▶軽い荷物なのに彼氏に持たれて、恥ずかしい思いをした。
▶緊張でマイクを持つ手が震えた。
▶妹のかばんを持ってやる。
▶「ママ、抱っこ」「両手に荷物を持っているから無理よ」▶入学式の日のキャンパスには、サークルのプラカードを持った上級生がたくさんいた。
コロケーション
<もの>を
荷物、ボール、バッグ、グラス、かばん
<様態>
いっぱい(に)、たくさん
<着点>に
手、右手、両手、左手
<手段>で
素手、利き手、人差し指、手、両手、片手
解説
▶この意味の「もつ」は、手(指、手のひら)を使ってものを取り、手の中に収めて維持することを表し、そのものをコントロールできる状態にすることを含意する。
主体が<動物>である場合、その主体は人と同様に指で物を握ることのできる霊長目(サル、ゴリラなど)であり、この場合「もつ」を問題なく用いることができるが、他に「パンダが笹を持っている」「猫がササミを器用に手に持って食べている」のように、両前脚にものを挟んで対象を維持している場合にも、前脚が手に見立てられて「もつ」を用いることが可能になることがある。
誤用解説
▶
この意味の「もつ」は、典型的には対象を手の中に収めてそれを維持することを表し、対象の着点はあくまでも「手」である。
また、手の一部である「指」や「腕」を用いて対象の重量を支える場合にも「もつ」が可能であるが、「肩」になるとやや不自然になり、手とは異なる身体部位と捉えられる「背中」や「頭」などには用いられない。
かばんを手で持つ。
ポーチを二本の指で持つ。
かばんを肩で持つ。
かばんを肩に掛ける。
かばんを背中で持つ。
かばんを背中に背負う。
類義語・反義語
類義語
反義語置く
2.把持他動詞初級★★★
表記持つ
人・動物が、ものを握る。
文型
<人・動物>が<もの>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶右手に杖を持って立っている。
▶机のへりを持って立ち上がる。
▶手すりを持ったままゆっくり進む。
▶運転するときはちゃんとハンドルを持ちなさい。
▶車内で横の人に目の前のつり革を持たれて邪魔だった。
▶ベビーカーのリクライニング操作は、必ずレバーを持って行ってください。
コロケーション
<もの>を
つり革、手すり、ハンドル、レバー
<様態>
しっかり、ちゃんと、強く、軽く
解説
▶この意味の「もつ」は、対象であるものを手で握ることを表しており、これは語義1からの拡張であると考えられる。
語義1はものを握って手に収めることを表すが、語義2ではそのうち、<握る>ことに焦点が当たっており、語義1のように、ものを手の中に収め、その重量を手で支える必要はない。
以下の例では、ドアノブを握ってそれが手の中に収まった状態ではあるが、同時に、ドアノブはドアにくっついた状態であり、手でその重量を支えてはいない。
ドアノブを持ったまま挨拶するな。
また、この例では、上述のようにドアノブはドアにくっついた状態であり、主体の手の中に収めてそれを移動させて別の場所に置いたりはできないが、握った状態で押したり回したりするなどの働きかけを行うことはできる。
誤用解説
▶
この意味の「もつ」は一般に、手(指)が直接働きかける部分が対象になる。
机を持って立ち上がる。
机のへりを持って立ち上がる。
入室の際は、ドアを持ったまま挨拶するな。
入室の際は、ドアノブを持ったまま挨拶するな。
類義語・反義語
類義語握る、つかむ
反義語はなす
3.所持他動詞初級★★★
表記持つ
人が、ものを携帯する。
文型
<人>が<もの>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶今や携帯電話を持たない高校生は珍しい。
▶敵に銃を持たれたらかなわない。
▶「診察カードを忘れて来てしまいました」「保険証は持っていらっしゃいますか」▶雨が降りそうだから今日は傘を持って出かけよう。
▶子供に防犯ブザーを持たせることにした。
▶「今いくら持っているの」「2000円くらいかな」
▶ねえ、子どもに携帯持たせてる?
コロケーション
<もの>を
お金、携帯電話、カード、鍵、ハンカチ、書類
<様態>
常に、必ず、確かに
非共起例
<もの>を 帽子を持ってくるのを忘れた。
帽子をかぶってくるのを忘れた。
▶この意味の「もつ」は実際には対象を手に収めていない場合にも用いられるが、その対象は、身に着けるものであっても基本的には手に取って携行することのできるものに限られる。
したがって、履いたりかぶったりするなどして身に着ける場合には「もつ」は用いられない。
もちろん、「試合で使う帽子を持ってくるのを忘れた」のように、着用したものとは別にかばんなどに入れて携行する場合には「もつ」を用いることができる。
解説
▶この意味の「もつ」は、語義1の<ものを手に取り、それを手の中に収める>ことからさらに進んで、<ものを携帯する>ことを表している。
ものを携帯する際には、典型的にはそのものを手に取る。
したがって、語義3の「もつ」は語義1の「もつ」と時間軸上連続して起こるため、後に起こる事態を、それより前に起こる事態を表す形式によって表現している。
なお、この「もつ」はものを携帯すること自体に焦点が当たっており、必ずしも手で握っている状態でなくても良い。
例えば、「財布を持っている」という場合、背負ったリュックの中やズボンのポケットに財布が入っている状態でも「もつ」と言える。
類義語・反義語
類義語携帯する、携行する、携える
反義語
4.具有(身体)他動詞上級★
表記持つ
人・動物が、特徴的な身体部位や傷を身体に有する。
文型
<人・動物>が<身体部位・傷>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶健康な歯を持つことが、長生きの秘訣です。
▶鋭い牙を持つ動物には、ライオン、イノシシ、セイウチ、ヘビなどが挙げられる。
▶頬に傷を持った男が近づいてきた。
▶運動をして、健康な身体を持とう。
▶ダチョウは大きな翼を持っているが、飛ぶことはできない。
▶あの女優は60代になっても若々しくきめ細やかなお肌を持っている。
コロケーション
<身体部位>を
健康な歯、美しい肌、牙、羽
<傷>を
傷、傷跡
<身体>に(場所)
背中、顔、脛
解説
▶この意味の「もつ」は、特徴的な身体部位や傷を身体に有することを表し、ものを身に着けるという点で、<ものを携帯する>ことを表す語義3と類似している。
一方で、語義3の対象は、外界に存在する「携帯電話」や「財布」などの物理的物体であり、語義4の対象は当該の人や動物にもともと備わっている身体部位や、身体において生じた傷などであり、この点が異なる。
誤用解説
▶
語義解説で述べたように、語義3の「もつ」は、主体である人間が別の物理的存在(携帯電話や財布など)を携行することを表すため、自分の一部としてもともと備わっているもの、例えば自分の耳に対して、「私は耳を持っている」とは言わない。
これと並行して、語義4の「もつ」においても、全ての人間にもともと備わっている部位に対しては用いられず、当該の人物や動物などだけが何らかの働きかけによって手に入れたかのような、<特徴的な身体部位>や<傷>に用いられる。
そのため、対象である身体部位はその「特異性」を表すために、必ず修飾要素を伴う。
昨日、肌を持つ女性を見た。
昨日、美しい肌を持つ女性を見た。
例文に挙げられている「翼」や「牙」などは、修飾要素がなくても良い(「ダチョウは翼を持っている」「ライオンは牙を持っている」)が、これらは人間にとっては十分に「特徴的」であるためだと考えられる。
なお、意思形は主体が人間である場合にのみ可能である。
5.所有他動詞中級★★
表記持つ
人が、物事を自分のものとして有する。
文型
<人>が<物事>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶愛情深い両親を持って、私は本当に幸せだ。
▶勝手に別荘なんか持たれては困る。
▶独立していずれ自分の店を持とうと思っている。
▶「来月田中が結婚するらしいよ」「あいつもようやく所帯を持つ気になったか」▶あの政党は議席を多く持っている。
▶「クラスメートが誕生日を祝ってくれた」「良い友達を持ったね」
コロケーション
<もの>を
車、金、店、土地、資産、会社、口座、家族、親友
<こと>を
所帯、趣味、仕事
<様態>
いずれ、いつか、すでに、ようやく
<名目>として
形見、資産、財産
解説
▶この意味の「もつ」は、対象を手の中に収めてそれを維持すること表す語義1と類似している。
我々は、対象を手の中に収めることによって、それを移動させたり潰したり投げたりするなど、対象をコントロールすることができる。
同様に、この意味の「もつ」は、対象を自分のもの(コントロールできるもの)として所有することを表している。
ただし、語義1の対象は「ボール」や「かばん」などの物理的物体であるが、この意味の「もつ」の対象は、実際には手で持つことのできないものであり、また多くは自分の財産となるようなものに限られる。
また、語義1が対象を手に収めてそれを維持することを表すのと同様、語義4の「もつ」においても、対象を一定期間自分のものとすることを表している。
誤用解説
▶
語義解説で述べたように、この意味の「もつ」の対象の多くは自分の財産となるようなものであり、マイナスの対象をとらない。
彼は莫大な財産を持っている。
彼は莫大な借金を持っている。
彼は莫大な借金を抱えている。
「借金」と「財産」はどちらも実際には手に取ることができないものであり、また金額として表すことのできるものであるが、「借金」は自らの意志で所有してコントロールできるとは言いにくく、「もつ」を用いるのは不自然である。
似たような表現として「かかえる」があるが、この場合、字義通りには、<(手や指だけでなく、対象を囲むように腕を回して)胸に収める>ことを表しており、手で持つことのできるものよりも大きいものに対して用いられることから、<負担の大きいものを自分のものとする>という意味を比喩的に表し、「借金を抱える」のように用いることが可能になる。
なお、この「かかえる」とより関連が深いと思われる意味に、次の語義6がある。
類義語・反義語
類義語所有する
反義語手放す、失う
6.負担他動詞上級★
表記持つ
人が、物事を引き受ける。
文型
<人>が<物事>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶「支払いは僕が持つよ」「いや、割り勘にしよう」▶この仕事は私が責任をもってやり遂げます。
▶資格取得のための費用は会社が持ってくれることになった。
▶冠番組を3本も持てるなんて、彼は今や売れっ子だね。
▶田中先生は、授業を7コマ持っている。
▶あの人はこの会社でどんな役割を持っているんですか。
▶僕も責任を持って自分の仕事ができるようになるまで、随分時間がかかりましたから……。
コロケーション
<物事>を
① 費用:費用、送料、金② 責任:責任③ 役割:仕事、任務、授業
<様態>
ちゃんと、ある程度、少しは
非共起例
<物事>を 数日間だけ、甥っ子の世話を持った。
数日間だけ、一年生の授業を持った。
▶任務に関して、「授業」やそれに関連する「クラス」、「コース」などを除いて、特定の仕事を対象にすることはできない。
解説
▶この意味の「もつ」は、主体である<人>が対象である<物事>を引き受けることを表しており、対象である物事を自分のもの(コントロールできるもの)とすることを表す語義5から派生した意味であると考えられる。
というのも、対象を引き受けるということは、自分の意志によってコントロールすることであり、これは、自分のものとする(語義5)ことによって、それをコントロールする(語義6)という、原因と結果の関係にあるためである。
なお、語義5で述べたように、類似表現として「かかえる」がある。
この場合、字義通りには、<(手や指だけでなく、対象を囲むように腕を回して)胸に収める>ことを表しており、手で持つことのできるものよりも大きいものに対して用いられることから、<負担の大きいものを引き受ける>という意味を比喩的に表す。
また、単に手でものを持った場合にはそのものを操ったりそのものを持ったまま別のことをしたりすることが可能だが、大きいものに腕を回して抱えた場合には、そのものを思うように操ったり、そのまま別のことをしたりすることは困難である。
したがって、「もつ」と「かかえる」のどちらも<自分のものとして引き受ける>という意味を表すことが可能だが、「かかえる」を用いた場合にはその負担が「もつ」で表されるよりも大きく、またそれによって他のことができないことを含意する。
そのため、負担がそれほど大きくないと考えられる物事に対しては、「もつ」とはいえるが「かかえる」とはいえない。
田中先生は、よその大学で一コマだけ授業を持っている。
田中先生は、よその大学で一コマだけ授業を抱えている。
類義語・反義語
類義語負担する、引き受ける
反義語
7.人の管理他動詞上級★
表記持つ
人が、人を管理する。
文型
<人>が<人>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶認知症の親を持つ。
▶アルコール依存症の父を持って、子供の頃は苦労した。
▶「君のところの田中君は、よく働くね」「できる部下を持って、楽をさせてもらってるよ」▶あの方は、たくさんのお弟子さんを持っていらっしゃる。
▶「最近虐待のニュースが多いね」「幼い子供を持つ母親として心が痛いわ」▶あのギタリストは熱狂的なファンを持っている。
▶理解のある旦那さんをもって幸せよね。
コロケーション
<人>を
子供、弟子、部下、夫、妻、親
<様態>
すでに、やがて、これから
非共起例
<人>を 太郎を持つ親 子供[娘、息子]を持つ親
▶この「もつ」は、特定の人物とは共起できない。
解説
▶この意味の「もつ」は、人を自分の責任において引き受ける(管理する)ことを表し、対象である物事を自分のもの(コントロールできるもの)とすることを表す語義5から派生した意味であると考えられる。
というのも、対象を引き受けるということは、自分の意志によってコントロールすることであり、これは、自分のものとする(語義5)ことによって、それをコントロールする(語義7)という、原因と結果の関係にあるためである。
なお、<人が物事を引き受ける>ことを表す語義6も、同様に語義5から原因と結果の関係に基づき派生したと考えられるが、語義6の対象が<物事>であるのに対して、語義7の対象は<人>であり、対象をコントロールする状況の中でも特に<(人の)面倒を見る>ことを表す。
また、語義5で述べたように、対象に対して「弟子を持つ」、「弟子を抱える」のどちらも言うことができるが、「弟子を持つ」と比較して「弟子を抱える」は負担の大きさ、管理の大変さを含意する。
誤用解説
▶
この意味の「もつ」は<人を管理する>ことを表し、主体が対象をコントロールする関係にのみ用いられるため、「子を持つ」は言えるが、「親を持つ」のようには言えない。
ただし、例文にも示されるように、「高齢の親」など、管理が必要な対象であれば目上の者に対しても用いられる。
彼女は、二人の子を持つ母親だ。
彼女は、二人の親を持つ娘だ。
幼い[病気の]子を持つ。
高齢の[認知症の、一人暮らしの、病気の]親を持つ。
さらに、「病気の親」以外でも、以下のように目上の者を対象として「もつ」を用いることもできるが、その場合、<世話・管理する>という意味ではなく、<(財産として)所有する>というようなプラスの意味を表し、これは語義5にあたる。
素晴らしい上司[友達]を持って幸せだ。
(語義5)
類義語・反義語
類義語抱える
反義語
8.具有(人の性質・状態)他動詞中級★★
表記持つ
人が、性質・状態を有する。
文型
<人>が<性質・状態>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶あいつは聞く耳を持たない。
▶もうすこし節度を持とう。
▶彼はピアニストの素質を持っている。
▶「動物は飼わないの?」「うちの子がアレルギーを持っているのよ」▶コンピューターリテラシーの重要性をすべての人が共通認識として持つべきだ。
▶十分な語彙や文法項目を知識として持っていることと、それらを実際に使えることは異なる。
コロケーション
<性質>を
① 権利、力:権限、力、権利、能力、権力、才能、技術② 性格:自信、誠意、余裕、信念、勇気、誇り、こだわり、プライド③ 性質:性質、素質、資格、雰囲気、傾向、異名、肩書、欠点
<状態>を
① 幸運:運、強運② 関係:関係、関わり、接点③ 経歴:経歴、経験④ 情報:知識、情報⑤ 病気:病気、アレルギー、疾患、症状
<様態>
もともと、本来、一応、生まれながらにして、すでに、少し、もっと
<名目>として
知識、教養
非共起例
<状態>を 彼は仮死状態を持っている。
彼は仮死状態である。
▶主体がコントロールできない状態について用いることはできない。
解説
▶この意味の「もつ」は、人が物事を自分のものとして一定期間所有することを表す語義5と、人が対象を自分のものとして一定期間有するという点で類似している。
語義5における対象も、実際には手の中に収めることのできないものであり、この点でも共通しているが、一方で、この意味の「もつ」の対象は<性質>や<状態>であり、語義5よりもさらに抽象度が高い。
また、この意味の「もつ」は、主体が外界に存在する対象を所有物とするのではなく、主体の内部にある性質や状態を一定期間有することを表している。
対象となる<性質・状態>は、時間とともに変化しうるが、一定期間継続する性質・状態でなければならない。
なお、対象のヲ格をとらずに「あいつはもっている」のように表現することがあるが、この「もっている」は<運がある>ことを表す。
類義語・反義語
類義語有する(権限[資格、素質、経歴]を有する)、備える(能力[知識]を備える)
反義語失う
9.含有(物の性質・状態)他動詞中級★★
表記持つ
ものが、性質・状態を有する。
文型
<もの>が<性質・状態>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶ここの温泉はさまざまな効能・効果を持つ。
▶エレガントな輝きを持つ黒真珠は、大人の女性にぴったりです。
▶このコースは、丸みを持った自然なカーブが特徴です。
▶彼の含みを持たせた言い方が鼻につく。
▶現在の年金制度は大きな欠陥を持っている。
▶弁護士は、依頼の内容によって料金に幅を持たせている。
コロケーション
<性質>を
① 性質:性質、特徴、構造、幅、傾向、価値、欠陥② 働き:機能、性能、働き③ 効果:効果④ 意味:意味合い、意味、意義
<状態>を
① 関係:関係、関わり② 経歴:歴史、伝統
<様態>
もともと、本来
<名目>として
特徴
非共起例
<状態>を このコンピュータープログラムは、特定の活動を持っている。
このコンピュータープログラムは、特定の活動状態を持っている。
▶ある活動が継続的に行われる場合はその活動の継続状態に「もつ」を用いることがあるが、一度きりの活動には「もつ」を用いることはできない。
<状態・性質>が 一瞬のきらめきを持つ宝石 強いきらめきを持つ宝石
▶一定期間継続する性質・状態について用いられるため、継続しない状態・性質については用いられない。
解説
▶この意味の「もつ」は、主体が性質や状態をその内部に有する点で、人がある性質や状態を有することを表す語義8と同様であるが、語義8の主体は<人>である一方で、語義9の主体は<もの>である。
類義語・反義語
類義語有する(特徴[効果、歴史]を有する)、備える(特徴[性能]を備える)
反義語失う
10.保有(思考・感情)他動詞中級★★
表記持つ
人が、思考・感情などを有する。
文型
<人>が<思考・感情など>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶控えめな態度が好感を持たれます。
▶覚悟を持って事に当たる。
▶もっといろいろなことに関心を持とう。
▶偏見を持っている人とは友達になりたくない。
▶新事業についてどんなプランを持っているか教えてください。
▶あの会社については初めから悪い印象を持っていた。
コロケーション
<思考>を
① 思考:確信、先入観、疑問、偏見、考え、悩み、見通し、希望、認識② 関心:興味、関心③ 意志:覚悟、意志④ 志向:目的、目標、夢⑤ 印象:印象、イメージ
<感情>を
感情、愛情、不満、好意、気持ち、警戒心、不信感、疑い、恨み、優越感、劣等感、好感、反感
<場所>に
心、胸
<対象>に
自分、相手、人、恋人、友達
<様態>
常に、だんだん、ますます、互いに、ずっと
非共起例
<感情>を 今回の報道に対して、いやな気分を持った。
今回の報道に対して、いやな気分になった。
今回の報道に対して、いやな気持ちを持った。
▶「もつ」は本来、対象を自らの意志によって手に取り、それをコントロールできる状態にすることを含意し、そこから派生したこの意味の「もつ」は、「気持ち」とは共起できるが、「気分」とは共起できない。
これは、「気持ち」が、主体が明確な認識によって対象に対して自ら抱く感情であるためコントロール可能であり、一方「気分」は、外的な影響や身体の生理現象によって引き起こされる、漠然とした心身の状態を表し、「気持ち」と比べて主体によるコントロールが難しいためであると考えられる。
解説
▶この意味の「もつ」は、主体である人がその内部にある状態を一定期間有するという点で、語義8と同様である。
一方で、語義8の対象は<状態>や<性質>であるが、この意味の「もつ」の対象は、<状態>のなかでもより特殊な<思考>や<感情>などの<精神状態>であるという点で異なる。
誤用解説
▶
語義解説で述べたように、この「もつ」は、主体である人が、その内部に、ある状態を一定期間有するという点で語義8と類似しており、対象となる<状態>は、(時間とともに変化しうるが)一定期間続く状態でなければならないという点も同様である。
したがって、この「もつ」の対象である<精神状態>も、一定期間続くものでなければならない。
上司に驚き[怒り]を持つ。
上司に恨み[不信感]を持つ。
類義語・反義語
類義語抱く(考え[気持ち、夢、印象]を抱く)、覚える(反感を覚える)
反義語
11.設定他動詞上級★
表記持つ
人が、機会を設ける。
文型
<人>が<機会>をもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶両者の間で話し合いが持たれた。
▶時間外労働について、会社と団体交渉を持った。
▶経営陣が会談を持ち、合併について合意がなされた。
▶自分の行動を振り返る機会を持とう。
▶もっと英語に触れる機会を持ちたい。
▶有名人になると、何らかの接触を持とうといろいろな人が寄ってくる。
コロケーション
<機会>を
交渉、機会、場、交流、接触、会合
<様態>
ようやく、やっと、ついに、さっそく
非共起例
<機会>を 情報交換[成長、活動]を持とう。
情報交換[成長、活動]の機会[場]を持とう。
▶交渉、交流、接触などはそれ自体を<機会>として対象に取ることができるが、一般的には「~の機会」や「~の場」の形を取る。
解説
▶この意味の「もつ」は、人が抽象的事物をコントロール可能な状態で有するという点で、語義8と同様である。
一方で、この意味の「もつ」の対象は、語義8と同様実際には手の中に収めることのできないものであるが、語義8のように一定期間持続する性質・状態ではなく、<機会>や<場>という、一度限り、その場限りでも良いものであり、<持続>の意味は含意されず、<コントロール>のみに焦点が当たっている。
類義語・反義語
類義語設ける(機会を設ける)、設定する(交渉の場を設定する)、開く(団体交渉を開く)
反義語
12.維持自動詞上級★
表記持つ
人・もの・ことが、そのままの状態を保ち続ける。
文型
<人・もの・こと>がもつ
文法
受身尊敬使役意思継続結果・完了
例文
▶すべての例文を聞く
▶毎日カップラーメンじゃ、とてもじゃないけど体がもたない。
▶彼らの結婚生活は3年ともたなかった。
▶祖父は長くはもたないだろうと医者に言われた。
▶「もうすぐ頂上だ」「このまま天気が持ってくれればいいんだけど」▶趣味の話で間を持たせる。
▶「この花は一週間前に頂いたものだよ」「よくもっているね」
▶朝ご飯を抜いたら、お昼まで身体がもたないわよ。
コロケーション
<もの>が
体、食べ物、衣類、製品、金、店
<こと>が
天気、結婚生活、場、仲、間
<様態>
① 長く、よく、しばらく、少しは、結構② (「~ない」の形で)長くは、とても、あまり、それほど
非共起例
<人・もの・こと>が 雨が持つ。
天気が持つ。
▶主体がマイナスの状態にある場合、その状態が続く際には「もつ」は用いられない。
解説
▶この意味の「もつ」は「体力がもつ」のように自動詞的に用いられ、主体の状態が維持されることを表す。
これは、主体が性質や状態をその内部に有することを表す語義9と関連している。
語義9では、主体である<もの>が、対象である<性質・状態>を有することを表すが、この意味の「もつ」は、主体である<人・もの・こと>が、自らの状態をコントロールして維持することを表しており、状態の維持に焦点があたっている。
なお、主体には<人>だけでなく「食べ物」や「バッテリー」などの<もの>や、「結婚生活」などの<こと>も多く現れる。
主体がものやことである場合、例えば「食べ物がもつ」など、食べ物が自身の状態をコントロールしているとは考えにくいが、通常放っておくとマイナスの状態(食べ物であれば腐り、バッテリーであればなくなる)に自然に変化していくものが、そのマイナスの状態にならないように自らの状態を保っている(コントロールにより維持している)かのように捉えられている。
なお、何らかの外的要因によって主体がその状態を保つよう促される場合には、それを明示するために使役の形で用いる(「夏場は冷蔵庫に入れて、なるべく食材をもたせよう」)か、外的要因をデ格で示す(「この店は女将でもっている」、「祖父は延命装置でなんとかもっている」)。
類義語・反義語
類義語続く(お金が続く)
反義語
持つの全体解説
各語義の語義解説をご覧ください。
▶全例文を聞く
previous
play
next
stop
mute
maxvolume
repeat
shuffle
fullscreen
コーパス
アニメ
慣用表現
複合語
語義1
<もの>を◆片方の手には、紫色の小さなバッグをもっている。
(村上善男著『萬鐵五郎を辿って』,1997,723)
◆僕は水割りのグラスを持って移動した。
(村上春樹著『ダンス・ダンス・ダンス』,1988,913)
<着点>に
◆私は両手に重い荷物を持って、玄関に立った。
(広岡達朗著『意識革命のすすめ』,1983,783)
<手段>で
◆右手でコップの下の方を持ち、指で穴をふさぎます。
(花島世津子監修『びっくり!かんたん!スーパー手品』,2000,779)
語義2
<もの>を◆ハンドルを持ったとき、ひじが軽く曲がる程度にリクライニング角度を調節します。
(北島久和著『初めてクルマに乗るまでの鉄則66』,2000,537)
◆また電車で吊り革を持ったまま居眠りをしたとき、突然カクンとなるのも同じです。
(雑学ものしり倶楽部著『ウソ、ホント!?「からだの不思議」の雑学』,2001,491)
語義3
<もの>を◆まだ学生でカードを持っていませんが、親の許可を得て、親のカードで登録可能でしょうか?(Yahoo!知恵袋,2005,Yahoo!オークション)
◆家から一歩外に出る時は、必ず鍵を持って出ます。
(Yahoo!ブログ,2008,家庭)
語義4
<身体部位>を◆ブラジルの奴隷解放は一八八八年ともっとも遅いが、現実のブラジル人は混血が進んでアフリカ人とも異なる小麦色の肌をもつ。
(旅山端人著『漂々三国留学記』,2002,290)
◆齢は二十代の後半、美しいブロンドの髪をもつ、彫りの深いギリシャ美人である。
(丸山千里著『丸山ワクチン』,1976,494)
<傷>を
◆このシカは、奇形の角とおなじ側のまえ脚に銃撃による傷をもっていた。
(ErnestThompsonSeton著;今泉吉晴監訳『シートン動物誌』,1998,482)
<身体>に(場所)
◆このように、脳に損傷をもつ人の研究から、脳のなかに単語を記憶している部分、概念を記憶している部分、それらを結びつけている神経回路などが存在することがあきらかにされつつある。
(柳澤桂子著『生命の奇跡』,1997,460)
語義5
<もの>を◆お前は若いのによくそんなに金を持っているな?(晴山陽一著『英語上達7つの法則』,1998,830)
◆男は五十代で、大きな車を持っていた。
(ニコル・カスティオーニ著;奥光宏訳『代議士になったパリの娼婦』,2002,289)◆自分の店を持つという目標もあるので、3年以内に貯蓄を増やしたい!(Hanako,2004,一般)
<こと>を
◆ボランティアの人たちは、みんな自分の仕事を持っている。
(塩田丸男著『ニッポンの食遺産』,2004,383)
◆わたしはいろいろな趣味をもっているが、なかでも熱心なのは書道だ。
(轡田隆史著『「国語力」をつける本』,2002,810)
<名目>として
◆若い頃に稼いだぶんを資産として持っている、そのぶんについては当然、権利があっていい。
(小野善康著『節約したって不況は終わらない。
』,2003,332)
語義6
<物事>を◆しかし、作品を送った所、出版するには本人が多少費用を持たなければいけないと言われました。
(Yahoo!知恵袋,2005,芸術、文学、歴史)
◆そして、自分の行動には責任をもってください。
(赤羽建美著『男のコの気持ち』,1993,)◆あなたはどういう任務を持ってここにおられたのですか。
(国会会議録,1995,常任委員会)
語義7
<人>を◆僕も子を持つ父親だから、その気持ちが痛いほどわかる(Yahoo!ブログ,2008,世界の地方)
◆無口な夫や口べたな夫をもつ妻は、二人が一緒に楽しめるような会話の仕方や夫の感情表現を手助けする術を身につける。
(ペッパー・シュワルツ著;豊川輝,けい悦子,豊川典子訳『結婚の新しいかたち』,2003,367)
語義8
<性質>を◆本来子どもたちは生きる力を持っている。
(碇浩一著『母さん父さん、楽になろう』,2000,367)
◆すべての者は、身体の自由および安全に対する権利をもつ。
(田島裕訳著『イギリス憲法典』,2001,323)◆中川は自分のプランに自信を持っていた。
(山本弘人著『共済で日本を変える男EXA社長・中川博迪の挑戦』,2005,289)◆創業社長はどんな会社の社長でも、自分の会社に深い愛情と大きなプライドをもっているものです。
(分林靖博著『中小企業のためのM&A徹底活用法』,2002,335)◆たとえば,優れた音楽家の両親をもつ子どもは一般に優れた音楽的素質をもつと考えられる.(末永俊郎編『現代心理学入門』,1988,140)
<状態>を
◆これほどの運を持った子ならば、きっとこの将来も神仏のご加護にめぐまれようぞ。
(高橋直樹著『童鬼の剣』,2003,913)
◆つまり、初舞台は、子供が家庭の枠から離れ、初めて社会と接点をもつ場なのである。
(光森忠勝著『伝統芸能に学ぶ』,2003,772)◆私が知り合った青年、メーサ君も留学経験をもっている。
(山梨県国際理解教育研究会編『青い空とたくさんの笑顔と』,2003,375)◆また、脂肪肝の人は、ほかの生活習慣病をもっていることも多く、注意が必要な病気でもあります。
きょうの健康(NHKテレビ放送テキスト),2002,医学)
<様態>
◆まあ、それでも本来持っている実力からすれば、まだ五分咲きってとこかな。
(兼三著『ごっつあんです』,2000,788)
<名目>として
◆図書館に向く人は,1人の役に立つことを喜びとできる人,2好奇心・探究心が強く,世間の情報を広く教養として持っている人,3人間が好きな人,4本が好きな人,だと私は思いますよ。
(神立春樹著『大学図書館の在り方を追って』,2005,017)
語義9
<性質>を◆水は他の液体と非常に異なった性質を持つ液体である。
(桐生春雄監修『水性コーティング』,2004,576)
◆視床下部はいわばコントロールタワーの機能をもっている。
(宗像恒次著『ストレス解消学』,1991,493)◆近年、ビタミンKが骨形成促進効果を持つことが知られてきました。
(土屋文安著『牛乳読本』,2001,648)
<状態>を
◆皆さんが毎日使う道路は、生活のさまざまな場面でかかわりをもっています。
(広報ずし,2008,神奈川県)
◆イギリスはデモクラシーの古い歴史を持つ国である。
(A.B.エル・セバイ著『イスラームと日本人』,2001,302)
語義10
<思考>を◆偏見を持って子どもたちに接することは、子どもたちの個性を伸ばさないことにも、つながります。
(白鳥稔著『心の教育と生きる力と』,2002,370)
◆仕事には興味を持たず、根っからの怠け者だった。
シドニィ・シェルダン著;天馬竜行訳『星の輝き』,1995,933)◆それだけの覚悟を持って、私はこの職を引き受けた。
(武弘道著『こうしたら病院はよくなった!』,2005,498)◆明確な目的をもって生きるメーサ君の姿に心の底から感動した。
山梨県国際理解教育研究会編『青い空とたくさんの笑顔と』,2003,375)◆私は、決して沼田さんに悪い印象をもっていない。
(浜なつ子著『マニラ行きのジジババたち』,2002,334)
<感情>を
◆育江も何時しか青木に好意を持つようになっていた。
(石垣用喜著『石垣島失踪事件』,2001,913)
◆のり子も私も、三枝子のやり方に不満を持っていても、何一つ言えない弱い立場だった。
(萩原葉子著『木馬館』,1991,913)
<場所>に
◆なによりも大事なことは、心に希望をもつことです。
(帯津良一著『身近な人がガンになったとき何をなすべきか』,1999,490)
<対象>に
◆外国の人を紹介し合う中で,より相手に親しみをもち,もっと知りたいという意欲が高まっていった。
(諸富祥彦,尾高正浩編著『エンカウンターで道徳』,2002,375)
語義11
<機会>を◆芸術・文化や自然とふれあう機会をもとう(広報「町から町へ」,2008,奈良県)
◆野生児とは、生まれたときからずっと自然の中で暮らし、他の人間と一切交渉を持つことなく育った子供のことだ。
(関修,木谷麦子編『知った気でいるあなたのためのセクシュアリティ入門』,1999,367)
語義12
<もの>が◆食欲もありませんでしたが、少しは食べないと身体がもたないと思い、無理をして食べました。
(土師守著『淳』,1998,368)
<こと>が
◆だからあたしが一方的にしゃべんなきゃ、間がもたないじゃない。
(竹内志麻子著;神尾葉子原作『花より男子』,2005,913)
語義3
▶ねえ、子どもに携帯持たせてる?
語義6
▶僕も責任を持って自分の仕事ができるようになるまで、随分時間がかかりましたから……。
語義7
▶理解のある旦那さんをもって幸せよね。
語義12
▶朝ご飯を抜いたら、お昼まで身体がもたないわよ。
肩を持つ
意味
対立しているものの一方の味方をする。
用例
母と私が喧嘩になると、父はきまって母の肩を持つ。
コーパスからの用例
あなたはお義母さんの肩を持つんですか、ああそうですかそんなにお義母さんがいいんですかだったらいいわよあたしは出ていきますからと、ひと息にまくしたてると、本当に走って家を飛び出してしまった。
(宮部みゆき著『理由』,2004,913)
根に持つ
意味
心の奥底に恨みを有したまま、いつまでも忘れない。
用例
みんなの前でからかわれたことを、いまだに根に持っている。
コーパスからの用例
きみはどうやらバーモントでのことをまだ根に持っているようだから、まずはその点からはっきりさせていこう。
(リン・グレアム作;槙由子訳『未婚の母になっても』,1999,933)
持ちつ持たれつ
意味
互いに助け合っている。
用例
ご近所さんとは、持ちつ持たれつの関係にある。
コーパスからの用例
おそらく、町役場から何か言われているのでしょうね。
こういう町では特に新聞記者と警察は持ちつ持たれつですから(今野敏著『レッド』,1998,913)
持って生まれた
意味
生まれつき備わっている。
用例
うちの子たちを見ていると、持って生まれた性格ってあるんだな、と思います。
コーパスからの用例
さあ、そうなると持って生まれたお節介焼の気性が黙っちゃいない。
(井上ひさし著『イヌの仇討』,1988,912)
持って回った
意味
必要以上に遠回しである。
用例
彼の演説は、政治家特有の持って回った言い回しが多くて分かりにくい。
コーパスからの用例
「それまでのお楽しみということに、しておきましょう」ひどく、持って回ったいい方だったが、黒川は、別に腹は立たなかった。
何しろタダで招待されたのだし、周囲の雪景色が、十分に美しかったからである。
(西村京太郎著『秘めたる殺人』,1997,913)
複合動詞V1持ち上がる、持ち上げる、持ち歩く、持ち帰る、持ち掛ける、持ち崩す、持ち越す、持ちこたえる、持ち込む、持ち去る、持ち出す、持ち直す、持ちまわる、持ち寄る
複合動詞V2取り持つ、掛け持つ、受け持つ
複合名詞持ち帰り、持ち越し、持ち込み、持ち逃げ、持ち回り、持ち寄り、金持ち、気持ち、子持ち、太鼓持ち、病気持ち、心持ち、腹持ち、日持ち、長持ち
持つ(1グループ)の活用
▶活用を聞く
アクセント型起伏型
辞書形もつ
ない形もたない
~なかったもたなかった
ます形もちます
~ませんもちません
~ましたもちました
~ませんでしたもちませんでした
~ときもつとき
ば形もてば
意向形もとう
て形もって
た形もった
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